エクストラレッスン®
プラクティショナー養成コース
2016年3月
2期生・15名に卒業認定を行い、
そして国際エクストラレッスン大会終了時に
卒業式を行いました。
卒業生の発展をお祈りします。
子どもは未来であり光です。
(エクストラレッスン®プラクティショナー養成コース コーデイネイター・奥村知亜子)
2016年7月に開催する国際エクストラレッスン大会は、1期、2期の卒業生が同僚としてともに働き、ともに学ぶ出会いの場となります。基調講演のユップアイケンブーン先生は、エクストラレッスンの背景にあるアントロポゾフィーを深く研究してきた方で、私たちの活動のルーツを学ぶ素晴らしい機会です。2012年にお出逢いを得て学びを与えられ、ぜひ1期、2期の卒業生とともに、そしてエクストラレッスンに大きな関心を持ってくださる方々と日本で学びあいたいと切望して、国際大会の運営をしています。
2004年にニュージーランドの実習校でエクストラレッスンという教育活動に出遭い、この活動を最も子どもの教育環境に課題を抱える大阪から展開していくことを志してすでに12年が経とうとしています。2008年、WAMの助成金を受けたプレコースの開催が可能になり、そこに集った23名の参加者のうち、17名が受講を希望したところから、エクストラレッスンインステイチュート(旧学習障がいセンター)とのコース開催の交渉がまとまり、第1期を2009年より始めました。
開始前にオーストラリアで実施されたエクストラレッスン世界大会のインゲンシュナイダー先生の講演では、子どもがレムニスカートやスパイラルといった宇宙にある原型的フォルムを動くので睡眠の内に精神界の大いなる力といかにつながって治癒力が働くかということを学び、リッチー医師からは、現代の子ども達の精神存在はその自分の身体にしっかり入ることができないために苦悩していて、私達の仕事はこの地球に生まれた子ども達が自分の物質体にしっかりと入り自分の使命を果たせることを手伝うことであるいうメッセージをいただき、私のその後の運営への道のりに熱が入りました。
エクストラレッスンのアセスメントのひとつひとつの在り方やその解釈のひとつひとつ、エクササイズのひとつひとつは聞いてすぐに腑に落ちていかないことばかりでしたが、実際に自分が行い、子どもと取り組むことがひとつひとつの事柄を納得させてくれました。受講中には実習が300時間を越えたころから、日本のコースでコーデイネイターとして講義をしてくださったマリアン先生が様々に伝えてくださった事柄が、ただの事項やマニュアルとしてではなく、ひとつひとつ、真実として自分の中に落ちてきました。日々、一期一会の出会いでありつつ、多くの子ども達、そして保護者とつながって、様々な子ども達の成長を毎日経験していくことでしか私達は真理には近づけないと痛感します。また、事柄をすぐに納得せずにそう感じることができるまでは判断や思い込みをせずに単に眺めて心の棚に置いておきます。いつ納得できる日が来るかはわからないのです。瞑想やイメージによっても把握しようとする時間を重ねながら、子どものひとつひとつの動きをビジュアルに再現して何度も何度も眺めていると、あるとき、直観が働いて、ひらめいたり、実感に至ったりという瞬間が思いもかけずに訪れます。それをじっと待ちます。判断へ飛び込むことは戒めないといけません。わからなさを抱えても不安に巻き込まれずにその不安を追い出してひたすらセッションを重ねていきます。子どもがひたすらエクササイズを繰り返すことができるよう努めます。繰り返し繰り返し繰り返す。その中で、どのような人でも、ただただひたすらに心を無にして寄り添い動いていると、ある日突然次の段階へ進んでいる。ある日、その日が来るのです。その人本来の姿へ一歩近づく、そういう瞬間があります。それを期待するのではなく、存在の本来的なあり方へと進んでいくという大いなる確信をもって待つ。その待つあり方は今のその子どもを、その人を全肯定したあり方でそばにいるという在り方。全ては子ども達が私達に自らを開いて教え育ててくれることがらです。ただひたすらにこの活動を営む。行為こそが私達の本領です。運び3年、手足から精神へ至りますと教えていただいた茶道の道のようでもあります。
ひたすらに、日々目の前の子ども達との活動こそがお互いの未来を創っていくのです。まさに、保護者と手を結んで進むその真ん中にある、子どもこそ未来であり光です。
目の前の子どもが遠い宇宙の昔から今の地球に生きる身体を持つ存在として生まれ、そこに精神存在としての自らが懸命に浸透して身体の隅々を自分のものにして本当に自らの人生の道を歩もうとしている。それは受精から誕生を経て、地球の重力と闘い、この地球に自分の身体を創りつつその身体にしっかりと自分が浸透していこうとする姿です。人間になりゆく姿です。
現代の暮らしや環境は、その発達の基盤をゆるがすような時代です。その生活環境では子ども達は身体を自由に使って経験できる機会が生まれたときから減ってきていて、バランスや運動協調の未熟さを生み出し、自分の身体がどう動いているのかさえ感じる力も働きにくくなっているのです。幼稚園や小学校で子どものふるまいや学びの問題を招き身体コントロールの乏しさの原因になっているのです。
子ども達が自分の身体に浸透して人間としての原型的な発達をとげ、いのちの使命を果たそうとしている、その懸命ないのちの働きに寄り添って、誕生から誰もが順番にたどる自然発達の道をひとつひとつ丁寧にたどりなおしていくことに取り組んでいく、日々のセッションや毎日の課題を子ども達が嫌がらずにこなしていくのを見守っていると、彼らは自分が自分になることに深いところで気づき充足しているようにも見えます。
子ども達がフロアを這い、渦巻きやレムニスカートを動き超感覚的な流れのエクササイズに取り組むとき、自分の力で充分に地球の重力を克服していけなかったところを時間をかけて取り組んでいくことに、もともとこの世を生きていこうとして生まれてきた深い意図を感じ取ることができます。
まるで、茎が、葉が開いて伸びゆきつつ、その茎の先に緑なす硬いのつぼみがいつしか彩を帯びて開いていくように、ひとりひとりのその開いていく個が、まさにその子どもらしいあり方で表れていき、その十人十色の変容に感動します。
人間の中に内在している力のすごさと人間に働く宇宙や自然の治癒的な形成力の働きに驚かされます。この活動がもっと様々な場所で展開されていき、子ども達が地球に生きる住人として自由に自分らしく生き生きと生きていけるように、2期生の卒業認定を迎えて、さらに心引き締めて進んでいけますように。1期2期ともに子ども達のために研鑚を積んで歩んでいけますように祈ります。
さらに、第3期はこのコースがアントロポゾフィーに根差して日本での真の深化を遂げることができるように精進していきます。みなさま、どうか、温かく見守ってくださいませ。